日本消化器がん検診学会雑誌
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佐賀県における年代別胃がん対策の現状
遠藤 広貴水口 昌伸鶴岡 ななえ白石 良介下田 悠一郎緒方 伸一江﨑 幹宏
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2022 年 60 巻 4 号 p. 650-656

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抄録

胃がん患者発生率が高い佐賀県では現在,小児未成年・若年成人・中高年の年代別に予防も考慮した胃がん検診・対策に積極的に取り組んでいる。まず小児未成年には2016年度から,一次予防として県内15歳全員を対象にピロリ菌(Helicobacter pylori: H. pylori)検査と除菌までを全額公費で賄う「未来へ向けた胃がん対策推進事業」を開始しており,3年間で21,368名の参加が得られている。次に公的検診非対象者である若年成人層はH. pylori除菌による胃がん予防効果が高いことから,県内全20市町中13市町でH. pylori検査補助などが行われている。また中高年層では,従来からの上部消化管X線検査を用いた胃がん検診に加え,2017年度から県単位での対策型胃内視鏡検診を導入している。50~60歳代の偶数年齢を対象とし,実施登録施設数は2017年から2020年度まで順に17,53,73,92施設,受診者数は順に82,544,797,948名,胃がん発見は4年間で6例であった。2020年度には県内全20市町の参加が得られたが,今後は一層の受診者の増加が必要である。加えて2018年度には佐賀県健康福祉部健康増進課に「がん撲滅特別対策室」が設立された。これらの対策により今後佐賀県の胃がん患者が減少することを期待したい。

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© 2022 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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