日本消化器がん検診学会雑誌
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総説
胃X線検診のための読影判定区分と胃がん検診読影体制の再構築
加藤 勝章安保 智典
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2022 年 60 巻 5 号 p. 688-700

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抄録

対策型胃がん検診として胃内視鏡検診が承認されたとは言え, 医療資源が乏しく導入が困難な自治体では, 集団処理能が高く, 安全で安価な胃X線検診を引き続き活用せざるを得ない。しかしながら, 胃X線読影に習熟した読影医不足は深刻であり, 医師によるダブルチェック体制を維持するのは困難になりつつある。本学会では読影の精度管理の標準化を目的に「胃X線検診のための読影判定区分」を策定した。この判定区分ではHelicobacter pylori感染胃炎の有無, 病変存在の確からしさ, 悪性の確信度に応じて6つの区分(カテゴリー1, 2, 3a, 3b, 4, 5)が設定されている。要精検はカテゴリー3a以上で, 精検不要は胃炎・萎縮の有無をベースにカテゴリー1または2と判定する。カテゴリーは病変存在や悪性の確信度を表す簡便な指標であり, 検診業務にあたる診療放射線技師と共有することで, 彼らの技量や知識を読影業務にも活用できると期待される。そこで, 本学会は胃がん検診専門技師の上位資格として読影補助認定技師制度を設け, 読影補助にあたる専門技師の育成と認定を行うこととした。読影医不足を補完し, 胃X線検診の読影精度を維持するためには, 認定技師による読影補助業務を加えた読影体制の再構築が望まれる。

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© 2022 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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