日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
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60 巻, 5 号
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巻頭言
総会長 報告
特別寄稿
  • 芳野 純治
    2022 年 60 巻 5 号 p. 672-687
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/15
    ジャーナル フリー

    第50回東海北陸地方会は2021年9月に開催された。東海北陸地方会が始まってから50回目になることより, 東海北陸地区における消化器がん検診の50年の歩みを振り返った。地方会の名称は第1回から第11回までは「東海北陸胃集検の会」, 第12回より「地方会」となった。第12回より地方会は「胃集検の会」と同日に開催された。この形態は2016年の第46回地方会まで継承され, 地方会に発展的に統合された。第47回地方会より地方会は単独で開催された。「胃集検の会」の名称は学会名が変更するに伴い, 「消化器集検の会」, 「消化器がん検診の会」と変更された。また, 東海北陸地区において行われた検診活動について主として文献を引用して, 1970年代の「検診三方式」, 会員数の推移, 胃X線検査受診者数の推移, 歴代の支部長, 総会会長・大会会長, 有賀記念学会賞受賞者, 年度別学術奨励賞受賞者, 学会創立当初の学会発表, 愛知県・福井県・石川県における検診のあゆみ, 超音波検診の草莽期について述べた。

総説
  • 加藤 勝章, 安保 智典
    2022 年 60 巻 5 号 p. 688-700
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/15
    ジャーナル フリー

    対策型胃がん検診として胃内視鏡検診が承認されたとは言え, 医療資源が乏しく導入が困難な自治体では, 集団処理能が高く, 安全で安価な胃X線検診を引き続き活用せざるを得ない。しかしながら, 胃X線読影に習熟した読影医不足は深刻であり, 医師によるダブルチェック体制を維持するのは困難になりつつある。本学会では読影の精度管理の標準化を目的に「胃X線検診のための読影判定区分」を策定した。この判定区分ではHelicobacter pylori感染胃炎の有無, 病変存在の確からしさ, 悪性の確信度に応じて6つの区分(カテゴリー1, 2, 3a, 3b, 4, 5)が設定されている。要精検はカテゴリー3a以上で, 精検不要は胃炎・萎縮の有無をベースにカテゴリー1または2と判定する。カテゴリーは病変存在や悪性の確信度を表す簡便な指標であり, 検診業務にあたる診療放射線技師と共有することで, 彼らの技量や知識を読影業務にも活用できると期待される。そこで, 本学会は胃がん検診専門技師の上位資格として読影補助認定技師制度を設け, 読影補助にあたる専門技師の育成と認定を行うこととした。読影医不足を補完し, 胃X線検診の読影精度を維持するためには, 認定技師による読影補助業務を加えた読影体制の再構築が望まれる。

症例報告
  • 柴田 昌幸, 高森 頼雪, 土屋 昭彦, 西川 稿, 長田 宏巳, 杉谷 雅彦
    2022 年 60 巻 5 号 p. 701-711
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/15
    ジャーナル フリー
    70歳, 男性。65歳から毎年人間ドックを受けていたが, 便潜血検査 (免疫法) (fecal immunochemical test:FIT) を含めて異常を指摘されたことはなかった。70歳時の人間ドックでもFIT陰性であったが, 腹部超音波検査で50mm大の腹腔内腫瘤を指摘され当科外来を受診した。Positron emission tomography-computed tomography (PET-CT) では小腸腫瘍にのみfluorodeoxyglucose (FDG) 集積があったが, 術前内視鏡検査で下行結腸に粘膜下隆起を伴う潰瘍性病変を認め, 生検で低分化型腺癌と診断された。両病変ともに切除術施行され, 小腸腫瘍はgastrointestinal stromal tumor (GIST) でFletcher分類・低リスクであったが, 下行結腸癌はpT4aN1M0でpStageⅢaだった。術後補助化学療法も実施されたが, 手術6ヵ月後 (人間ドック受診から10ヵ月後) に多発肝転移, 腹腔内多発リンパ節転移をきたし, 転移リンパ節圧排による閉塞性胆管炎から肝不全となり死亡した。極めてまれな経過を辿った症例であり報告する。
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