2023 年 61 巻 3 号 p. 292-306
韓国のがん検診は対策型と任意型のデータが統合されているため大規模データの詳細な解析が可能である。胃がん検診は内視鏡とX線が選択でき, 死亡率減少効果により内視鏡検診は40-74歳で2年毎実施を推奨, 85歳以上は不実施を推奨, 胃X線検診は不推奨とされた。2020年の内視鏡受診者は90.8%だったが, 内視鏡医が働き過ぎないよう予約システムが効率化されている。住民登録番号に基づく検診データ管理により胃がん検診受診率は2010年の44.7%から2019年に62.9%に上昇した。2020年の胃がん・腺腫発見率は0.48%であった。人口10万対胃がん発生率は年率0.2-4.6%で減少し続け, 人口10万対胃がん死亡率も1985年の57.6人から急速に低下し, 2012年には日韓が逆転し2019年に7.1人となった。胃がん患者の5年生存率は1993-95年の43.9%から2015-19年の77.5%へ上昇し, 内視鏡検診による早期胃がん割合増加の反映が想定された。H. pylori感染率低下や除菌実施率上昇が日本と同様進んでおり, 今後は生誕年や感染状態の違いによる胃がん検診方法選択の可能性が模索されている。