日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
経鼻内視鏡検査における鼻呼吸に関する検討~食道Brownish area発見頻度の検討~
尾上 耕治山田 浩己新川 仁奈子宮﨑 貴浩
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2024 年 62 巻 2 号 p. 107-113

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抄録

【目的】経鼻内視鏡検査において, 口呼吸ではなく鼻呼吸を行うと咽頭反射が少なくなり受検者の忍容性は向上するという報告がある。鼻呼吸の推奨により腫瘍発見率が向上するかを明らかにするために, 食道・咽頭がんの拾い上げに有用な所見として広く用いられている食道Brownish areaについて, 鼻呼吸を推奨しなかった対照群と鼻呼吸を推奨した群において発見率を比較検討した。

【対象と方法】2020年8月1日から2023年1月31日までに両群とも同じ術者3人, 内視鏡3機種を使用した経鼻内視鏡受診者4,560人:対照群3,244人(男2,042:女1,202, 平均年齢54.7)および鼻呼吸推奨群1,316人(男821:女495, 平均年齢54.8)を対象とした。画像強調内視鏡観察によりBrownish areaを拾い上げた。

【結果】2022年6月21日までの鼻呼吸推奨なしの受診者数は3,244人, Brownish areaが発見されたのは52人(発見率1.6%)であった。一方2022年6月22日以降の鼻呼吸推奨ありの受診者数は1,316人, Brownish areaが発見されたのは40人(発見率3.0%)で両群に有意差を認めた。なお, 内視鏡機種の違いによるBrownish area発見頻度には有意差を認めなかった。

【結語】経鼻内視鏡検査における鼻呼吸の推奨は, 食道Brownish areaの発見率が高く食道がんの早期発見に寄与することが期待される。

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© 2024 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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