日本消化器がん検診学会雑誌
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膵癌高危険群の拾い上げを目的とした膵臓専門外来の有用性―腹部超音波検診の膵臓要精検者での検討―
森 英輝座覇 修
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2024 年 62 巻 2 号 p. 114-124

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抄録

【目的】腹部超音波(AUS)検診で指摘された膵の描出不能例(描出不良例を含む)と異常所見例(膵嚢胞, 膵管拡張, 膵腫瘤)に対し, 膵臓専門外来(膵外来)を設けて精検を行い, 膵有所見例を膵外来でフォローすることが, 膵癌の高危険群の拾い上げと早期発見に寄与するかを検討すること。

【対象と方法】2020年1月からの3年間でAUS検診を受診した34,066例を対象とし, 精検受診者の膵所見発見率を膵外来開始前(前群)と開始後(後群)の18か月間ずつにわけて比較した。後群の膵有所見例は, 全例膵外来でフォローした。

【結果】AUS検診で指摘された膵の描出不能例は4.9%, 異常所見例は0.8%であった。描出不能例のうち, 精検後に膵有所見となったのは前群/後群でそれぞれ7.6%/25%で, 後群が有意に高かった。異常所見例の膵所見発見率は同等であった。精検後に5mm未満の微小膵嚢胞を膵癌高危険群として膵外来でフォローし, 早期の膵癌を2例診断した。

【結語】AUS検診の膵描出不能例に対し, 膵外来で精検を行うことで膵所見発見率が増加した。また, 精検で拾い上げた膵癌高危険群を膵外来で継続してフォローすることで, 膵癌の早期診断が期待できる。

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© 2024 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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