2025 年 63 巻 2 号 p. 112-119
【背景】一過性全健忘(TGA:transient global amnesia)は一過性の記憶障害を呈する症候群で, 上部消化管内視鏡検査(EGD:esophagogastroduodenoscopy)がその誘因になる。任意型検診で行ったEGDで発症したTGA例を報告した。
【対象と方法】対象は2005年1月~2009年12月に人間ドックでEGDを受けた延べ87,859例である。EGDは覚醒下に咽頭麻酔のみで先端径9mmのスコープを経口挿入して実施した。EGD関連TGAの特徴(頻度・年齢・性・基礎疾患・検査医の熟練度・検査時間・前向性健忘や逆向性健忘時間・予後)を検討し, 無作為抽出500例と比較検討した。
【結果】TGAは11例(0.0125%)認め, 平均年齢60.2(55-68)歳, 性別は男2名・女9名, 基礎疾患がある者は7例, 平均検査時間5分11秒(2-11分), 前向性健忘が約2.8(1-6)時間, 逆向性健忘が約2(1-4)時間であった。全例EGD前後の記憶消失は残存したが予後良好であった。対照と比べ平均年齢が高く女性と脂質異常症者に多かった。
【結語】EGD関連TGAは0.0125%で発症し, 中高年女性に多く, 症状は軽微で予後良好であった。