2026 年 64 巻 4 号 p. 660-668
【背景と目的】胃X線検査における撮影手技では胃の形状によって撮影難易度が異なる。非鈎状胃では,造影剤の胃外流出や粘膜付着不良が起こりやすく,粘膜面の描出範囲が狭くなる。また,腹臥位二重造影像においては撮影手技が難しく,その傾向は顕著である。今回我々は胃の形態に及ぼす背景要因について検討した。
【対象と方法】対象は2021年度に大阪がん循環器病予防センターにて実施した胃X線検査の受診者から500名を無作為抽出し,年齢,性別,BMI,腹囲と胃形の関連性を統計学的に検討した。
【結果】非鈎状胃は500例中118例 (23.6%) で男性・高齢者・高BMIの受診者が多く,年齢,性別,BMIとの関連性が疑われた。性別では男性が年齢のみに有意差を認め,女性では有意な差を認めなかった。
【考察】胃の形態を決定づける身体的要因は,男性でより顕著であり,次いでBMIの上昇および加齢であった。一方,女性は,身体的要因のみに基づいて胃の形態を確実に予測することはできなかった。
【結論】男性において内臓脂肪および加齢が胃の形態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。本研究は胃X線検査技術および胃がん検診の質の向上に寄与すると思われた。