2026 年 64 巻 4 号 p. 764-772
症例は,40代女性。検診の単純CTで肝外胆管の拡張を指摘され,精査目的で当院受診となった。体外式超音波検査 (US) において胆嚢は全周性に均一な壁肥厚を呈し,腫瘤性病変や結石は認めなかった。肝外胆管は紡錘状に拡張し,最大径は12 mmであった。遠位胆管壁は全周性に内側低エコー層のびまん性肥厚を認めた。造影CTおよびMRCP,EUSでは,USと同様に肝外胆管の紡錘状拡張を認めたが,膵管と胆管の合流部の同定は困難であった。ERCPでは拡張胆管と同時に主膵管が描出され,十二指腸壁外での膵管と胆管の異常合流と考えられた。また,胆汁中のアミラーゼ,リパーゼはいずれも著明な高値を呈した。以上より,膵・胆管合流異常 (PBM),先天性胆道拡張症 (戸谷分類Ⅰc型) と診断し,肝外胆管切除および胆嚢摘出術を施行した。病理組織学的検索では胆嚢粘膜は炎症を伴った過形成がみられ,遠位胆管壁にも過形成主体の粘膜病変が認められたが,いずれにも異形成や悪性所見は指摘できなかった。以上より,肝外胆管拡張の有無に加えて,胆嚢壁や胆管壁の肥厚所見を意識した丹念な観察を施行することが,USによる胆管拡張型PBMの拾い上げ,および胆道癌合併の検索に重要と考えられた。