論文ID: 20020
【目的】当院の任意型胃がん検診の成績をもとに,任意型検診の対象年齢と検診方法について検討した。
【対象と方法】20年間の受診者71,866人(X線検診56,603人,内視鏡検診15,263人)の成績を5年毎(I-IV期)に検討した。
【結果】全期間の胃癌発見率はX線検診0.06%(32人)に対し内視鏡検診0.32%(49人),食道癌発見率はX線検診0.009%(5人)に対し内視鏡検診0.059%(9人)といずれも内視鏡検診で有意に高率であった(ともにp<0.001)。今後対策型検診から除外される40歳代受診者の胃癌発見率はI期0.09%に対しIV期0.01%と有意差を認めず,2016年度では同年代の20.9%に萎縮性胃炎を認めた。III,IV期に発見された胃癌49例中Helicobacter pylori(H. pylori)除菌後胃癌は14人(28.6%)で,13人が内視鏡検診であった。
【結語】任意型検診では40歳代受診者の検診を続行し,同年代の胃癌の早期発見とともにH. pylori胃炎の除菌による胃癌リスク低減に努めるべきである。除菌後胃癌の早期発見と食道癌の効率的な発見のためには,内視鏡検診が推奨される。