抄録
大宮市における大腸癌検診はOCヘモディア2日法, OCセンサーによる定量法とした。カットオフ値80ng/mlとした3年間の結果は受診率3.9%, 要精検率は便潜血陽性群10.9%, 便潜血陰性・問診陽性群12.9%, 精検受診率56.6%, 癌発見数 (率) 176例 (0.77%) であった。進行癌発見数 (率) は34例 (0.15%) と高値を示した。多くの進行癌は高測定値を示したが, 2例は100ng/ml以下の測定値で, カットオフ値の設定によっては見逃された症例であった。単発早期癌では500ng/ml以下が多かったが61,000ng/ml以上の症例も少なからずみられた。占居部位はともにS状結腸, 直腸に多く, 肉眼分類ではIp, Isp (早期癌), 2型 (進行癌) が多かった。今回, 我々は便ヘモグロビン濃度の数値化を試みた結果, 低測定値群に含まれる進行癌は予想以上に多いと考え, 進行癌の早期発見のためには, 低測定値群および異常なし判定群にも, より細やかな経過観察を要するものと考えた。