近年, 間接X線撮影で, 高濃度・低粘性のバリウムを使用し, 胃の全領域の二重造影像を撮影することによって, 胃癌発見に対する診断能が飛躍的に向上したと言われている。それ故に, 二重造影像がより一層重要となり, 充盈像および粘膜像の撮影意義が薄らいできており, 早急に現行の撮影基準法の見直しが必要であると考えられる。
そこで, 当施設における平成7~10年 (後期) の高濃度・低粘性バリウムを用いた二重造影法による胃集検 (職域検診) の成績について, 平成3~6年 (前期) の従来の撮影法の成績と比較検討した。
その結果, 1) 要精検率は24.1%から16.7%に低下したのみならず, 胃癌発見率は, 0.12%から0.14%に増加した。2) 同部位指摘率は前, 後期で不変であったが, 同部位指摘発見胃癌の早期癌率は, 66.7%から75.0%へ増加した。3) 同部位指摘癌の大きさ2.0cm以下は, 47.8%から57.1%と増加した。占居部位では, 描出困難といわれるM領域前壁の病変は前期より多い6病変, C領域に3病変を指摘し得た。また, 描出が比較的容易であるといわれるA・M領域の小彎・後壁に指摘した病変は, 全て早期癌で進行癌は一つも認めなかった。一方, M領域前壁の6病変の内4病変が進行癌で, 依然として今後の課題と考えられた。4) 他部位指摘癌の占居部位の検討より, A・M領域の小彎・後壁の見落とし病変数は半数に減少した。一方, 新たにM領域大彎に4病変が認められ, 描出不良の原因としてバリウム流出による小腸陰影との重なりが指摘された。5) 後期の逐年発見進行癌は2症例で, 粘膜下浸潤を示すIIc類似型進行癌であった。
以上より, 高濃度・低粘性バリウムを用いた二重造影法は, 胃全域へのバリウム付着を良好とし, 胃癌発見に関してより有効であることが明らかとなった。-一方, いくつかの課題も残されておりさらに一層の検討が必要と考えられた。
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