抄録
平成3年から6年度の佐賀県胃集検発見胃癌の中から逐年受診例を対象とし, 集検間接X線像と精査機関での画像, 切除所見を対比, 検討した。結果, 早期・進行胃癌の間接写真示現率は各65.6%, 96.1%, 他部位チェック率は各44.3%, 11.5%であった。早期胃癌では前壁病変の示現が不良であり, 隆起型に比し陥凹型の示現が困難であった。進行胃癌26例中23例が集検偽陰性で, このうち13例は前年度の間接X線に示現がなく, 撮影に問題がみられた。こうした偽陰性進行癌は早期類似型やC領域の未分化型の割合が高く, 非常に進行した症例は少なかった。今回の検討結果より, 胃集検間接撮影では, より小さく, 凹凸のない, 前壁やC領域の病変の診断が困難であり, C領域に多い未分化型は発育が早いことも加わって偽陰性進行癌になるものと考察された。