抄録
症例は63歳の男性である。胃集団検診撮影中に胃角部に降起性病変を見出されて, 圧迫撮影を2枚追加された。その翌日に吐血を来たして当院に緊急入院となった。手術を行った結果, 胃角部後壁の長径3.6cm, 深達度smのI型早期癌であった。検査所見で血清アルファフェトプロティン (AFP) 値が842ng/mlと高値を示し, また癌組織内に免疫染色によりAFPの局在が証明された。AFP産生早期胃癌は極めて稀であり, 集検撮影後の消化管出血はさらに稀な偶発症と考えられる。しかし現在癌検診の見直しが図れている厳しい環境の中にあり, 今後も検診事業を継続, 発展させるためにはこのような負の要件にも十分配慮する必要があると思われる。