日本消化器集団検診学会雑誌
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3年4カ月 (40カ月) の経過を観察しえた表面陥凹 (IIc+IIa) 型大腸早期 (sm) 癌の1例
山田 弘徳平塚 伸大塚 誉子高木 直行池延 東男市川 平三郎
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2000 年 38 巻 1 号 p. 32-36

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抄録

3年4カ月 (40カ月) の経過を観察しえた表面陥凹 (IIc+IIa) 型大腸早期 (sm) 癌の1例を経験したので報告する。症例は54歳, 男性。平成5年11月注腸X線・大腸内視鏡検査にて, S状結腸に不整型陥凹を有する12×12mmの隆起性病変を認めたが放置された。平成9年3月再び当診療所を受診, 同一部位に12×11mmのIIc+IIa型病変を認めた。以前と比べ大きさ・肉眼形態に著変を認めなかった。粘膜下浸潤が疑われたため, S状結腸切除を施行した。病理組織学的に高分化腺癌, IIc型, 12×3mm, smla, lyo, voで, 腺腫を伴わなかった。
表面陥凹型の大腸癌は, 病変が小さいうちから粘膜下に浸潤する可能性があると言われるが, 本症例は, 3年4カ月 (40カ月) の経過で大きさ・肉眼形態に著変を認めず, 大腸癌の自然史を知る上で非常に貴重な症例と考えられた。

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