抄録
胃集団検診における精度を向上させるために高濃度バリウム (180W/V%) を間接X線検査に用い, その結果から有用性について検討した。
2年連続して受診したある地域住民315例の120W/V%バリウムとの比較でも, 明らかに付着性には優れていると評価された。しかしこのバリウムは流動性が高く十二指腸へのバリウムの流れが読影の妨げとなる事が欠点であり, 撮影・読影に工夫が必要であった。胃集団検診の結果から比較すると, 癌発見率, 早期胃癌率には変わりはなかった。要精検率は若干の低下がみられたが有意の差ではなかった。また胃癌以外の疾患についても検討したが, 高濃度バリウムによる発見率の有用性はほとんどみられなかった。病変の発見率だけでは評価できないように思われる。また読影上はバリウムを150mlに減らさざるを得ないため, 読影の慣れが必要であったが, 概ね高評価であり, 発見胃癌も明瞭に描出されている傾向にあり, 有用性は高いと考えられる。更なる調査が必要であろう。