日本消化器集団検診学会雑誌
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ペプシノゲン法陽性者の管理精検の重要性
内視鏡検査経過観察例の検討より
井上 和彦真田 泰興桑田 幸央藤村 二郎板倉 滋三原 修吉原 正治春間 賢隅井 浩治
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2000 年 38 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

人間ドックにおける血清ペプシノゲン (PG) 法受診者1912例を対象にPG法陽性者 (PGI≦70ng/mlかつI/II比≦3.0) のみならず, 陰性者の1年後, 2年後の内視鏡所見の検討を行った。PG法陽性者593例からは2年後に新たに4例 (0.68%) の胃癌が発見されたが, PG法陰性者1319例からは2年間に新たに発見された胃癌はなかった。PG法陽性者からは1年後に1例, 2年後に1例の胃腺腫2例 (0.34%) が新たに発見されたが, PG法陰性者からは2年間に新たに発見された胃腺腫はなかった。2年間に新たに発見された胃癌4例, 胃腺腫2例の初年度のPG法判定はいずれも中等度以上陽性 (PGI≦50ng/mlかつI/II比≦3.0) であった。PG法受診者のその後の内視鏡所見の検討からもPG法は胃癌の高危険群の集約に有用と考えられ, また, PG法陽性者, 特に, 中等度以上陽性者では管理精検が重要と考えられた。しかし, PG法陽性者の1年後, 2年後の内視鏡受診率は陰性者に比べて高いものの50%未満であり, PG法の更なる啓蒙が必要と考えられた。

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