日本消化器集団検診学会雑誌
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喫煙と血清ペプシノゲン値
加藤 卓次東 健上田 敬岩城 真郡 大裕
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2000 年 38 巻 2 号 p. 118-125

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抄録

職場での総合検診で胃X線検査または内視鏡検査にて胃・十二指腸病変を認めない328例 (男性219例, 女性109例) を対象にして, 血青抗H. pylori抗体価および血清ペプシノゲン値を測定して, 抗H. pylori抗体の有無別に喫煙と血清ペプシノゲン値との関連性について検討した。その結果, 抗H. Pylori抗体陰性例では, 血清ペプシノゲンI値および血清ペプシノゲンII値は喫煙者は非喫煙者に比べて有意に高値を示した。抗H. pylori抗体陽性例では, 喫煙が血清ペプシノゲンI値には変化を及ぼさず, 血清ペプシノゲンII値を低下させ, その結果として血清ペプシノゲンI II比を上昇させた。さらに, ペプシノゲン法陽性例は, 抗H. pylori抗体陰性例では1例も認められなかったが, 抗H. pylori抗体陽性例では喫煙者の方が非喫煙者に比べて低頻度であった。以上より, ペプシノゲン法によるスクリーニングでは, 血清抗H. Pylori抗体と喫煙の有無および年齢をも加味して判断すべきであると考えられ。

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