抄録
施設US検診における偽陰性癌の実態と対策について検討した。追跡法による偽陰性癌は8例 (肝癌5例, 胆嚢癌1例, 膵癌2例) であり, US非描出癌は3例であった。この結果, 当施設のUS検診精度は感度87.5%, 特異度83.7%, 陽性反応的中度 (PPV) 1.9%, 偽陰性癌をUS非描出癌とすると感度953%, 特異度88.6%, 陽性反応的中度 (PPV) 2.1%となった。検診開始当初は技術的要素による偽陰性例が多かったが, 撮影基準設定後は減少し, US非描出の偽陰性癌が増加してきた。偽陰性癌の予後は肝癌では差を認めなかったが, 胆嚢癌・膵癌では極めて不良であり, 検診の責任は大きいと考えられた。偽陰性例の防止対策は技術面の対策とシステム面の両面の対策が必要であるが, USの描出限界を心得, 有症状者の取扱いや検診限界を周知徹底する対策を講じておく必要性がある。