2000 年 38 巻 4 号 p. 475-482
平成3年度における胃集検の間接X線検査による偽陰性例を, がん登録や事後調査および地元医療機関からの事後報告などの手段を用いて可能な限り収集した。同じ偽陰性例でもその発見契機により, 逐年検診で発見された胃癌と検診以外の契機で発見された胃癌では, かなり異なった特徴を有していることが明らかになった。
5種類の偽陰性例の定義を設定し, それぞれの偽陰性率を推計した。偽陰性例および真陽性例における深達度別の相対生存率を比較検討することにより, 胃集検における偽陰性の定義は「1年以内に診断された進行胃癌+逐年発見進行胃癌」とするのが妥当であると考えられ, その偽陰性率は21.2%と推計された。
偽陰性率は男性にやや高い傾向が見られ, 部位別ではC領域で有意に高率であった。年齢階級別では年代が高くなるほど偽陰性率が高くなる傾向が認められた。