日本消化器集団検診学会雑誌
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免疫学的便潜血反応による経年大腸検診における効率に関する研究
北澤 幸夫
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2001 年 39 巻 1 号 p. 33-37

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抄録
郵送された便で免疫学的便潜血反応による大腸検診を29,950名に行い, 2回陽性 (±を含む) の場合, 平成9年度以後痔出血時, 便秘, 月経前後の採便かを調査し, それらが無ければ要精密, あれば3回目の検便を行い, 陽性は要精密, 陰性は要観察とした。精密検診の結果は進行癌25名, 早期癌35名, 大腸ポリープ255名, 正常141名であった。2回以上陽性で1回でも廾ならば, 殆どの進行癌, 早期癌の2/3, 大腸ポリープの1/2, 正常の1/3も診断した。他の陽性形式でも早期癌の1/3, 大腸ポリープの1/2が診断されるので要精密とする。しかし, ± ・±では早期癌の1例 (2.9%) が診断されたにすぎないので要精密としない。要精密率は激減し0.87%となったが, 大腸癌発見率 (0.15%) は8年度迄の0.22%間に有意差は無く, 全国集計の職域発見率より高い。また, 大腸癌の過去の検便成績は陽性率 (25.0%) が低く, 進行癌では初回受診 (63.6%) が多い。また, 別に75,094名について偽陰性率を調べたが, 受診群 (24,059名), 非受診群 (51,035名) とも大腸癌の診断率は同率 (0.04%) で, 1日法の偽陰性率は44.4%であった。
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