日本消化器集団検診学会雑誌
Online ISSN : 2186-7321
Print ISSN : 1345-4110
ISSN-L : 1345-4110
高濃度低粘性バリウムを使用した間接胃集検の検診結果の検討
松永 哲夫村 俊成磨伊 正義
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 40 巻 1 号 p. 49-56

詳細
抄録

間接胃集検の癌発見率向上のため, 当協会では平成11年度より高濃度低粘性バリウムの使用, および撮影方法を変更し検診を行ってきた。従来のゾル製剤を使用した平成6年度から平成10年度までの5年間の検診結果と比較検討した。
撮影法は, 平成10年度以前は, 130w/v%, 200mlのゾル製剤, A-1変法による7枚法 (1. 腹臥位前壁レリーフ, 2. 腹臥位充盈, 3. 背臥位二重造影第一斜位, 4. 背臥位二重造影正面, 5. 半立位背臥位第二斜位, 6. 立位充盈第一斜位, 7. 立位充盈正面)で, 右側臥位より仰臥位の体位変換とした (従来法)。平成11年度は, 200w/v%, 150mlの高濃度低粘性バリウムを使用し, 前壁レリーフ像を前壁二重造影像に変更し, 背臥位第二斜位二重造影像を追加した8枚法とした(新撮影法)。要精検率は, 従来法が13.2%, 新撮影法が11.9%と若干低下したが有意差はなかった。癌発見率はともに0.09%であったが, 早期癌比率は従来法の63.7%に対し86.4%と上昇した。また胃ポリープの発見率が, 従来法0.78%に対し新撮影法1.06%と向上した。また, 腹臥位二重造影像は, レリーフ像と比較し前壁の描出に優れており, 背臥位二重造影第二斜位は体上部小弯の描出に優れ, 早期癌症例の発見があった。高濃度バリウムの使用による癌発見率の上昇はみられなかった。しかし, 早期癌比率, 胃ポリープの発見率の上昇は, 検診精度の向上につながるものと考えられた。

著者関連情報
© 日本消化器がん検診学会
前の記事 次の記事
feedback
Top