日本消化器集団検診学会雑誌
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胃集検登録制度における食道・胃同時精検による食道癌検診
伊藤 高広松尾 祥弘大石 元平井都 始子玉本 哲郎浅川 勇雄岩井 智郎松本 篤中西 攝子吉本 正伸高橋 仁志
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2002 年 40 巻 1 号 p. 5-10

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抄録

間接X線胃集検の精密検査施設における一つのモデルケースとして, 当科では要精査例を管理し, 症例に応じて治療・経過観察を行う胃集検登録制度を1973年9月より採用し, 食道・胃同時精検により登録患者4648名中表在癌13例を含む食道癌15症例 (0.32%) を発見した。男女比は11:4, 平均年齢は69.8歳 (57-86歳), 平均観察期間は10年 (1年5カ月-26年7カ月) で, 重複癌は肺癌2例, 胃癌1例 (登録による胃癌発見後9年目に食道癌発見) であった。進行癌2例, 表在癌5例に手術, 他の表在癌8例中5例にEMR, 1例に放射線治療, 2例にEMRと放射線治療を併用した。EMRを施行した7例を含めて表在癌10例が2001年7月現在無再発生存中である。胃集検登録制度における食道・胃同時精検により, 飲酒・喫煙歴のない女性, 早期胃癌術後例を含めて高率に食道表在癌を発見でき, 多くの症例で低侵襲治療が可能であった。

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