抄録
島根県胃がん検診および米子市胃がん施設検診, この両読影委員会の変遷を把握し, 山陰地区におけるX線読影医育成の現状と問題点について検討した。両読影委員会ともX線読影医の固定化, 高齢化が顕著にみられた。平成7年以降, 新人の加入は殆どみられず, これは若手読影医が育成されていないことに大きな原因があった。胃X線読影医の育成には基幹病院における若手医師に対する胃X線診断学への教育が最も重要であり, この分野に興味と情熱を持たせる事が必須である。著者らも現状を反省し, 今回の検討で明らかになった研修施設の減少, 内視鏡検査優位の最近の風潮などの問題点をひとつずつ解決するために, 今後, 真剣に努力を重ねるべきと考える。また, 当地区においては, 若手医師の消化器集団検診学会への入会が極めて少なく, 学会からの若手医師に対する啓蒙, メッセージなども大切な事と思われる。