日本消化器集団検診学会雑誌
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【原著】救命可能な膵癌発見のためのスクリーニング
高リスク群の設定は可能か
吉岡 律子三原 修一一二三 倫郎川口 哲郎中橋 栄太田中 信次長野 勝廣
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2003 年 41 巻 1 号 p. 11-19

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抄録

超音波 (US) 検診受診者から発見された膵癌71例を分析し, 救命可能な膵癌発見の可能性について検討した。年1回のUSスクリーニングだけでは救命可能な膵癌を発見することは困難であった。種々の生化学検査がスクリーニングに有効であるかどうかを検討した。尿amylase・CEA・CA19-9については, その高値群の予後は不良でありスクリーニングには不適であった。空腹時血糖・血清amylaseもスクリーニング効率は悪かった。elastase 1高値群の予後は正常値群より良好で, 特にelastase1のcut off値を300ng/dlに設定すると, TS1症例, stage1~2症例, 生存期間3年以上の症例の大部分を網羅することができた。救命可能な膵癌を発見するためには, 膵癌の好発年齢層にelastase1検査を施行し, 300ng/dl以上の症例に精密検査を行うのが効率の良い方法と考えられた。

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