日本消化器集団検診学会雑誌
Online ISSN : 2186-7321
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【経験】腹部超音波検診における膵癌発見の現状
北川 元二成瀬 達石黒 洋水野 伸匡斉藤 征夫
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キーワード: 職域検診, 超音波検診, 膵癌
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2003 年 41 巻 1 号 p. 25-29

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抄録
1993年から2002年までに中部健康管理センターにて職域検診を受けたのべ87,597例のうち超音波検診で膵に異常を指摘されたのは753例 (0.9%) であった。うち膵管拡張544例 (72%), 膵嚢胞72例 (10%),膵腫瘤56例 (7%), 膵石灰化21例 (3%), 膵腫大8例 (1%) であった。粘液産生膵腫瘍11例, 膵癌4例, SCT2例, ラ氏島腫瘍1例, 漿液性嚢胞腺腫1例などの膵腫瘍が発見された。膵癌4例中1例は膵頭部切除後1年で肝再発にて死亡, 1例は膵体尾部切除後6年経過しているが健在である。残り2例は切除不能であった。職域検診では検診受診者の年齢と膵癌の好発年齢とのずれやハイリスク・グループの設定が困難であることから極めて効率が悪い。現状においては腹部超音波検診の有所見者に対して積極的に超音波内視鏡検査や造影CT (dynamic) 検査などによる二次検診を行うことが最も有用であると考える。
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