日本消化器集団検診学会雑誌
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胃集検における要精検率から見た胃がん発見率と費用効率の研究
若井 静子佐々木 壽英立川 厚太郎樺澤 禮子田辺 直仁鈴木 宏
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2003 年 41 巻 2 号 p. 156-161

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抄録

胃がん検診の感度および費用効率について, 要精検率との関連から検討した。新潟県内の17検診機関を, 性・年齢調整要精検率 (調整要精検率) によって第1の≦3.9%から第7グループの≧14.0%まで7区分した。胃がん発見率 (性・年齢調整) は第1の0.157%から第5グループの0.275%までは調整要精検率とともに高くなったが, より高い調整要精検率での発見率向上は見られなかった。逆に調整要精検率が低いグループほど精検からの発見率が高かった。胃がん1名発見に要する精検経費は, 第1グループ: 269,106円, 第7グループ: 1,046,866円と上昇していった。しかし第1~第3グループでは検診の感度が低い可能性があり, 調整要精検率が8.0~11.9%の第4~第5グループで, 感度を下げず精検の費用効率が高い検診が行われていることが示唆された。
今後調整要精検率8.0~11.9%のグループに属する検診機関の特徴を明らかにすることが, 感度及び精検の費用効率に優れた検診を広めるために有用と考えられた。

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