抄録
我が国の大腸癌集団検診は地域および職域において定着したものになり, 発見癌も早期癌が多く一定の効果を上げている。その検診対象は多くは壮年層を対象としているが, 大腸癌の推定罹患率は高齢者に高く, 高齢化社会を迎えた我が国においては検診対象に高齢者も含める必要がある。平成5年から12年までの栃木県保健衛生事業団の大腸癌検診で, 75歳以上の高齢者 (高齢者) は各年別にみると全受診者の1.6%から4.5%で増加の傾向があった。高齢者の大腸癌発見数は各年毎に0から8名で, 発見率は0%から0.39%で, 最近の2年間では74歳以下 (非高齢者) より有意に発見率が高かった。また発見癌は早期癌が多かった。教室で治療した大腸癌も近年高齢者が増加していた。臨床病理学的検討では高齢者大腸癌と非高齢者大腸癌で組織学的進行程度に差はなく, より早期の発見が必要であった。治癒切除例の累積5年生存率は高齢者結腸癌89.3%, 直腸癌82.3%で非高齢者の結腸癌81.3%, 直腸癌72.7%に比較して有意差はないものの良好であった。