日本消化器集団検診学会雑誌
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大腸がん検診における便潜血検査の役割と大腸内視鏡検査の精度
加藤 忠岡田 正典小林 世美
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2003 年 41 巻 6 号 p. 567-573

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抄録

過去7年間に経験した大腸癌206例 (無症状145例, 有症状61例) を対象に, 便潜血検査の有用性を検討した。内視鏡生検診断後に内視鏡治療を施行した750例 (1406病変) を対象に, 内視鏡診断能を検討し, 早期癌57病変における生検診断率を検討した。無症状群の96%は便潜血発見群で, このうち 85%は早期癌, 64%が内視鏡切除例であったが, 有症状群では各々28%, 20%であった。内視鏡検査の見落とし率は長径5mm以上で4.3%, 1cm以上で2.1%で, 早期癌も2例あり, 見落とし例は1cm未満の平坦病変, S状, 上行結腸病変に多く, 部位別見落とし率は盲腸で高かった。早期癌の術前生検診断率は60%で, 偽陰性例のうち3例はsm癌であった。便潜血検査は無症状の大腸癌の早期発見に有用で, 内視鏡検査での見落としの可能性には留意が必要である。

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