抄録
上腹部5臓器を対象とした腹部超音波検診 (以下US検診) は, 本県でも1984年から開始され, 一定の効果を挙げてきているが, 他の臓器に比較すると膵については向上してきたとはいえ未だ有効性が低い。今回は, 膵癌の中でも比較的予後の良い嚢胞性膵癌を中心に現状を分析し今後の対策を検討した。その結果,(1) 嚢胞性膵癌9例中5例は嚢胞以外の所見で発見されていた。(2) 検診時の嚢胞性所見よりも発見嚢胞癌のサイズは大きかった。(3) 精検機関により精検方法が異なり, 一般医療機関はUSのみあるいはCTのみが多く, 専門医療機関ではUS+CTあるいはERCPやEUS等の特殊検査まで行われていた。(4) 嚢胞性疾患を標的とした陽性的中率は一般医療機関では48.6%と低く, 専門医療機関の71.7%と大きな差があった。
これらのことより, 今後は検診の膵描出能の向上を追及するとともに精検システムの管理による精検精度向上も重要と考えられた。