抄録
大腸がん検診には死亡率減少効果を示す十分な根拠があるが, 便潜血陰性者から検診外に発見される中間期がんは問題である。そこで中間期がんの実態を明らかにするため1992-95年の検診受診者 (144, 295名, 要精検率5.1%, 精検受診率74.0%) をがん登録により2年間追跡した。判明した浸潤癌 203例の発見経緯は真陽性群98例, 精検偽陰性群25例, 精検未受診群19例, 潜血偽陰性-逐年・隔年検診発見群33例, 中間期がんは28例で14%を占めた。中間期がんは28例中14例が右側結腸に存在し, 他の4群よりも多い傾向であった (P=0.089)。癌の分化度では28例中4例が低分化であり他群より有意に多かった (P<0.001)。中間期がんの累積5年生存率は639%で潜血偽陰性-逐年・隔年検診発見群の 96.7%, 真陽性群の82.0%より有意に不良であった。しかし, 中間期がんの累積生存率が検診非受診群から外来発見された大腸癌の生存率と同等であったことは注目に値する。