日本消化器集団検診学会雑誌
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血清ペプシノゲン法とヘリコバクターピロリ抗体価を用いた胃の‘健康度’評価-翌年度以降に発見された胃癌および胃腺腫の検討から-
井上 和彦谷 充理吉原 正治
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2005 年 43 巻 4 号 p. 442-448

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抄録
1996年度に血清ペプシノゲン (PG) 法とヘリコバクターピロリ (Hp) 抗体価測定を行った人間ドック受診者を対象に翌年度以降に発見された胃癌および胃腺腫の検討を行い, PG法とHP抗体価測定による胃癌スクリーニングの有効性を検討した。HP抗体 (-) PG法 (-) をA群, 砂抗体 (+) PG法 (-) をB群, PG法 (+) をC群とグループ分類した。翌年度以降6年間に発見された胃癌はC群で最も頻度が高く2.24% (7/312) であり, 次いでB群の1.05% (6/571) であった。A群260例から発見された胃癌は1例もなかった。C群での胃癌発見率はA群に比し有意に (p<0.05) 高率であった。なお, 胃癌発見時期の比較ではC群は血液検査施行後12~49か月 (平均29.7か月) であり, B群の25~60か月 (平均443か月) より有意に (p<0.05) 短かった。胃腺腫は5例発見されたがすべてC群であった。以上より, C群は胃癌, 胃腺腫発生の高危険群であり, 逐年内視鏡検査が必要と考えられた。一方, A群は胃癌, 胃腺腫の低危険群と判断することができると考えられた。
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