日本遺伝子診療学会誌
Online ISSN : 2759-6060
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研究室でのLDTの開発、精度管理の取り組みについて
田中 真生野本 順子佐藤 奈穂子辻 省次
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2025 年 2 巻 1 号 p. 46-49

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抄録

次世代シーケンサーによる網羅的ゲノムシーケンス解析は、遺伝性疾患の診断においてなくてはならない検査手法となっているが、商用の体外診断薬・医療機器としての提供が困難であることから、衛生検査所、医療機関、研究室において、Laboratory Developed Test (LDT)として提供されているのが現状である。当研究所では、衛生検査所の資格を取得した上で、次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析を、遺伝性疾患の診断を目的としたクリニカルシーケンスとして実施し、臨床医のニーズに応じた、柔軟性の高い検査として提供している。また、精度管理用ゲノムDNAを用いた内部精度管理を継続的に実施するとともに、外部精度管理としてCAPサーベイへの参加も行い、検査精度の維持、品質向上に取り組んでいる。一方で、遺伝性疾患の診断確定率の向上は、検査自体の精度管理、品質向上のみでは達成できず、検査前後の段階を含めた、総合的な取り組みが必須である。さらに、研究として位置づけられる解析にシームレスに移行できる体制の構築も重要となる。

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© 2025 日本遺伝子診療学会
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