2023 年 41 巻 1 号 p. 45-50
緒言:非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria:NTM)感染症は主に肺に認められ,婦人科臓器へのNTM感染症は稀である.子宮頸癌腟壁浸潤に類似した,子宮へのNTM感染症例を経験したので報告する.
症例:78歳,3妊3産.既往歴:皮膚抗酸菌感染症.現病歴:閉経後出血を主訴に当院外来を初診した.腟鏡診で淡血性帯下の貯留を認めた.腟全体が固く,診察で疼痛があり,腟壁は易出血性で子宮腟部が腫大して硬結を触れた.臨床所見から子宮頸癌を疑いMRI検査を施行した.MRIでは子宮頸部に腫瘤を形成し腟壁が全周性に肥厚していた.頸部細胞診はNILM,子宮腟部生検では高度な炎症細胞浸潤を伴う肉芽組織が認められ,悪性の診断は得られなかった.NTM感染症の既往からNTM感染症を疑い,腟壁からの生検組織を抗酸菌培養とDNA-PCR検査に提出したところ,NTMが検出された.子宮NTM感染症と診断し,レボフロキサシン,リファンピシン,カナマイシンで治療を行い症状の改善を認めた.
結論:婦人科臓器病変でNTM症の既往歴がある場合には,婦人科臓器へのNTM感染症も考慮する必要がある.