2023 年 41 巻 2 号 p. 218-226
腟断端細胞診は子宮悪性腫瘍の術後継続管理における再発検知を目的とした検査である.今回,子宮体癌術後の腟断端細胞診の役割を検討した.対象は2011年から2020年までの10年間に当センターで子宮体癌399例の術後に施行した5,053回の腟断端細胞診である.手術進行期はI期が344例,II期が14例,III期が28例,IV期が13例であった.対象の平均年齢は60.6歳,観察期間は平均40カ月であった.再発を24例に認め,手術進行期の内訳はI期が5例,II期が2例,III期が8例,IV期が9例であった.再発時期は術後平均17.1カ月であり,再発部位を検知した検査は腟断端細胞診が進行期III期とIV期の2例,血中CA125値が7例,Computed Tomography(CT)が15例であった.腟断端細胞診の有効率は再発症例において8.3%であった.399例において,再発を検知する費用は1例あたり腟断端細胞診が7,579,500円,血中CA125が1,001,400円,CTが1,230,593円であった.III期とIV期に限定した腟断端細胞診の費用は916,500円であった.腟断端細胞診は子宮体癌術後のスクリーニング検査として,III期とIV期症例に対して施行することが妥当と考えられた.