2023 年 41 巻 2 号 p. 76-83
がん細胞のゲノム進化は,がんの発生と進展,腫瘍内不均一性,および治療抵抗性の根幹として注目されている.そこで,Back to the Basicsとしての病理学的視点から,高異型度漿液性癌(high-grade serous carcinoma, HGSC)の播種性転移機序を考察するとともに,近年明らかとなった卵管初期病変p53 Signatureやserous tubal intraepithelial carcinoma(STIC)からHGSCに至るクローン進化について文献的にレビューし,染色体不安定性の重要性について考察した.