2023 年 41 巻 2 号 p. 84-93
進行子宮頸癌は極めて難治性で,有効な新規治療法の開発が望まれている.腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)は米国国立衛生研究所(NIH)で開発された養子免疫療法で,進行子宮頸癌において約20%の完全奏効(CR)が報告されている.注目すべき特徴はCRとなった症例では,その後の再発が低率で,治癒が期待できるとされていることである.また,免疫チェックポイント阻害薬の無効例であっても高い効果が報告されている.
TIL療法の手順では,まず最初に患者自身の腫瘍を切除して浸潤リンパ球を抽出し,培養28日目に活性を有するリンパ球を選択する.このリンパ球をフィーダー細胞である健常人由来の末梢血単核球と共培養して14日で約1,000倍に増殖させ(急速拡大培養),骨髄抑制処置を行った患者に輸注する.輸注後は抗腫瘍効果を増強するためIL-2を8時間ごと5回投与する.我々は,2021年10月より先進医療の枠組みのもと,第3種再生医療として進行子宮頸癌症例を対象としたTIL療法の第2相臨床試験を実施している(jRCTc031200283).先進医療と並行して前臨床試験を実施し,医師主導治験への導出を目指す.