日本婦人科腫瘍学会雑誌
Online ISSN : 2436-8156
Print ISSN : 1347-8559
原著
当院における子宮体癌特殊組織型(明細胞癌,漿液性癌,混合型)IA期の治療成績および予後に関する検討
合田 真優子宮本 真豪青田 沙紀三澤 亜純稲葉 洋文水野 祥河田 啓鈴木 由梨奈堀江 弘二
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2025 年 43 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

概要:子宮体癌特殊型(漿液性癌・明細胞癌(Pure type)・混合癌(Mixed type))は予後不良で,さらに頻度が少ないためIA期の症例のみや,Pure type・Mixed type別に検討した報告は乏しい.当院では子宮体癌特殊型IA期に対し,単純子宮全摘+両側付属器摘出+骨盤リンパ節郭清を基本術式とし後療法を施行せず,腹水細胞診陽性時に大網切除の追加と化学療法を推奨してきた.今回2008年から2020年の当院における子宮体癌特殊型IA期の治療成績及びその再発・死亡リスク因子に関して検討し,さらにPure type,Mixed type別に治療成績を検討した.対象症例は59例であった.5年無再発率は78.5%,5年生存率は92.2%で,再発は13例で,腹膜播種が9例と最も多かった.再発リスク因子は腹水細胞診陽性(リスク比7.46)のみで,type別のリスク因子でも同様の結果であった.子宮体癌特殊型IA期の症例に対する当院の治療方針は5年生存率90%を超えていた.腹水細胞診陽性は再発・予後に関与する可能性が高く,術後化学療法選択の検討が必要であり,再発高リスク症例として慎重な経過観察が重要と考えられる.

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