2026 年 44 巻 1 号 p. 7-17
概要:未熟奇形腫は,胎芽期の成分に似た未熟組織を含む卵巣悪性腫瘍で,稀に成熟した神経膠細胞のみからなる腹膜播種を認めることがある.これはperitoneal gliomatosisと呼ばれ,Grade 0で予後は良好とされる.さらに極めて稀だが,成熟した神経膠細胞で構成されるリンパ節転移を認めることがある.この病態はnodal gliomatosisと称され,未解明な部分が多い.我々は未熟奇形腫にperitoneal gliomatosisとnodal gliomatosisを合併した症例を経験した.症例は31歳未妊,術前検査で未熟奇形腫と右心横隔膜角リンパ節転移を疑い,開腹にて左付属器摘出術,大網切除術,ダグラス窩腹膜ストリッピング術を施行した.病理診断は未熟奇形腫Grade 2で,播種病変は全てperitoneal gliomatosisだった.術後BEP療法を施行したが右心横隔膜角リンパ節の腫大が残存し,胸腔鏡手術で摘出した.病理組織は異型のないグリア細胞のみで未熟成分はなく,nodal gliomatosisと診断した.Nodal gliomatosisが胸腔内で発見された報告は,国内外で本症例が1例目である.