2026 年 44 巻 2 号 p. 104-112
ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸癌の大部分の原因であることから,HPVワクチン(以下,予防ワクチン)による性行為感染阻止は極めて確実ながん予防となる.世界の先進国を中心に,男女ともに12~13歳前後でHPV予防ワクチンが定期接種化されている.感染を阻止するための予防ワクチンは性交渉を開始する前に,ほぼすべての対象者に接種することが最も効率的である.世界保健機関では予防ワクチンを90%の女性に接種する目標を宣言している.一方,ハイリスクHPVに感染しても約90%の感染者は発症しないし,HPV検査も陰性となる.これはHPVに対する宿主免疫応答(細胞性免疫)によって感染巣や腫瘍性病変を免疫排除しているためである.免疫排除されない約10%のHPV持続陽性女性に対して,HPVに対する細胞性免疫を誘導するHPV治療ワクチンを投与することでHPVを陰性化するという考えがある.HPV検査単独法による子宮頸がん検診でHPV陽性女性を絞り込み,治療ワクチンでHPV陰性にするという次世代の予防戦略が期待される.