2026 年 44 巻 2 号 p. 146-152
概要:妊娠性絨毛性腫瘍(GTN)は,胎盤栄養膜細胞の異常増殖を来す腫瘍性疾患であり,絨毛癌診断スコア・FIGO 2000リスク分類を用いた診断が行われる.これらの診断法では,臨床的絨毛癌はHigh-risk GTNに,臨床的侵入奇胎はLow-risk GTNに対応するが,診断の不一致症例も存在する.本研究は,1991~2023年に当院で治療を受けたGTN 273例を対象とし,両診断法の相関性と治療成績を報告する.結果として,臨床的絨毛癌かつHigh-risk GTN,臨床的侵入奇胎かつLow-risk GTNとなる症例の割合は92.2%であった.また,病理学的診断と絨毛癌診断スコアの一致率は92.7%であった.治療方針は,病理学的診断・絨毛癌診断スコアによって決定され,全生存率は絨毛癌群で84.9%,非絨毛癌群で99.5%であった.なお,絨毛癌かつLow-risk GTN症例は多剤併用療法を,侵入奇胎かつHigh-risk GTN症例は単剤療法を受け,全生存率は100%であった.総じて,両診断法は概ね一致するが,絨毛癌診断スコアの方が病理学的診断との一致率が高く,有用性が高いと考えられる.