2026 年 44 巻 2 号 p. 153-160
概要:外陰癌はまれな婦人科悪性腫瘍であり,高齢者に多く発生するが,35歳未満の若年者においても発生率は1.7%と報告されている.今回,妊娠初期から外陰部症状を有し,産後に外陰癌と診断され,急速に進行した症例を経験したため報告する.
症例は36歳.第2子妊娠初期より外陰部掻痒感を自覚し,妊娠中は外陰ヘルペスとして加療されたが改善しなかった.分娩後3カ月時に右外陰部腫瘤と疼痛,鼠径部腫瘤を主訴に前医を受診し,生検で外陰部扁平上皮癌と診断された.当院初診時,潰瘍を伴う右外陰部腫瘤,両側鼠経リンパ節転移を認めた.外陰癌IVA期と診断し,局所切除は困難と判断したため,同時化学放射線療法を施行した.しかし治療終了時に病勢進行を認め,続いて全身化学療法を追加したものの,診断から7カ月で永眠した.若年者の外陰部潰瘍ではヘルペス感染が疑われやすく,早期診断が困難な場合があるが,抗ウイルス薬が奏効しない潰瘍病変は悪性疾患を念頭に置いて,妊娠中であっても積極的に組織生検を行うことが重要である.