抄録
腹腔鏡下卵巣腫瘍手術は婦人科における腹腔鏡下手術の中で最も頻度の高い手術であるが、一方で現在の術前診断法では悪性腫瘍を100%否定できないこと、発熱や再発の原因になる内溶液の漏出が完全には避けられないこと、腹腔鏡下手術に不可欠な気腹に起因する合併症が存在することなど問題も多い。
当教室では、これらの問題改善を目的として、鉗子操作性の向上および気腹による合併症を回避するために皮下鋼線吊り上げ法の採用、内容液漏出の防止対策として腫瘍内容吸引器ソフトカップアスピレーターの開発などを行ってきた。そこで本稿では、我々が行っている吊り上げ法を用いた腹腔鏡下卵巣腫瘍手術について紹介する。