図学研究
Online ISSN : 1884-6106
Print ISSN : 0387-5512
ISSN-L : 0387-5512
研究論文
南ドイツにおける透視図法の展開 (2)
16世紀のクラフツマンによるパターンブックの図的表現の考察
奈尾 信英
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 46 巻 1 号 p. 19-28

詳細
抄録
ドイツ語圏における透視図法の黎明は,16世紀の南ドイツ で活躍したクラフツマンたちの功績まで遡ることができ る.15世紀のイタリアで芸術家や建築家により用いられた透 視図法は,A. デューラー没後,南ドイツで活躍したクラフ ツマンたちに受け継がれた.彼らのうち,とくにニュルンベ ルクを中心に活躍した H. レンカー,L. シュトーア,W. ヤ ムニッツァーの3人は,それぞれパターンブックを出版して いる.そこで本研究では,彼ら3人のパターンブックに着目 し,16世紀前半に南ドイツのクラフツマンたちが用いた作図 法について考察し,さらに同時代のフランスやイタリアで用 いられた作図法と比較・検討する.その結果,南ドイツのク ラフツマンたちは,多面体が組み合わされた立体図形(造形 作品)そのものを表現するために透視図法を用いていた.一 方,同時代のフランスやイタリアの数学者・芸術家たちは, 立体図形そのものの表現をしたのではない.彼らは,立体図 形の外側に空間を想定し,空間グリッドを設定して,精確に 立体図形を描き出していたのである.
著者関連情報
© 2012 日本図学会
前の記事 次の記事
feedback
Top