抄録
学校教育の家庭科では,体験的な活動を通じ,生活に必要
な知識と技術の習得や,生活を工夫し創造する能力を育てる
ことをねらいとして,布を用いたものづくりが選ばれること
が多い.しかし,現実には制作するもののデザインは既成の
ものであり,ものづくりの最も魅力的な部分である,自分で
考えて何かを作ることからは程遠い.我々はこれまで,初心
者を対象とする立体手芸設計支援システムの開発を多数行っ
てきた.また,それらのシステムを用いて,初心者を対象に
ワークショップの開催やユーザスタディにおけるシステム評
価を行い,これまで初心者には難しかった「立体手芸作品を
デザインする」という過程を効率的に支援できることを確か
めた.本論文では,これらの知見を総合することによって,
初心者向け立体手芸設計支援システムの要件をまとめ,提案
する.また,それをもって創造的家庭科教材の開発の指針と
して提言したい.