抄録
東京大学では,手描きによる図法幾何学を学んだ後で,CAD/CGソフトを用いた実習を通して立体形状の表現を学ぶという「図形科学」の履修カリキュラムが長く続いていたが,2015年度入学生から,3D-CAD/CGソフトによる実習の後で手描きの図法幾何学を学ぶカリキュラムに変更された.本研究では,この変更によって図形科学教育による空間認識力の育成に変化が生じたかどうかを検討するために,講義の前後に切断面実形視テスト(Mental Cutting Test:MCT)を実施した.各講義の前後のMCT得点の平均点差については,2016年度と2017年度の調査で有意差の傾向が安定せず,継続的に調査を行って検討する必要性が示された.今回の調査結果からは,手描きによる図法幾何学の講義を受講しようとする学生は,MCTで測定される空間認識力が高い集団である可能性が示唆された.