抄録
佐久田博司,西原小百合・西原一嘉,堤江美子らは中・高年齢者に対してMCTを実施した.本論文においては,これらの調査結果と,従来実施されてきた小〜大学生におけるMCT調査の結果を併せて,空間認識力の年齢変化について考察した.主要な結果は以下の通り:( 1 ) 一般社会人のMCT得点は30歳代でピークに達し,その後,年齢とともに減少する.退職した60歳代以上の高齢者の平均得点は中年齢層の平均得点より有意に低い.( 2 ) 一方,機械設計技術者については50歳代までピーク値を維持する.このことは,日常的に3 次元形状に注意を払うことが,MCTにおいて高得点を維持するのに重要な役割を果たしていることを示唆している.( 3 ) 中年齢層においては男性の平均得点は女性を有意に上回っているが,60歳代以上ではこの性差は消滅する.他に,MCTの個々の問題の正解率の年齢変化や,MRTの年齢変化との比較考察なども行った.