「窮屈に見えるけれど日常動作が可能な服」をコンセプトとして,外観の斬新さを優先したシャツの設計を試み,動作による上半身の寸法・形態の変化に対応できる衣服の構造について検討した.体幹に対して身頃が捩れて皺が生じるデザインで,胸囲のゆとり量は少なく,袖幅は上腕に十分なゆとりを加えた.着用すると前後中心線が15度傾く構造である.
着用実験の要因は胸囲のゆとり量で3水準(2・4・7cm)設定した.着用者は女子大学生10名である.官能評価(着心地,動きやすさ,外観)および腕付け根周辺の衣服圧の測定を行い,分散分析等の解析をした.
その結果,着用時の捩れによる皺は「見かけのきつさ」を強調しているが,上肢動作によって皺が開いて体表の変化に追従した.袖幅の十分なゆとりが動作による袖と上肢のずれを可能にした.3着の実験服は上肢動作,日常動作が可能であった.また,人体の動きにより変化する外観の評価も高かった.