図学研究
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研究論文
カフェウォール錯視の三次元解釈における三次元構造と錯視量の関係の検討
丸谷 和史大谷 智子
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 54 巻 2 号 p. 13-

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抄録

 階段状の立体表面に投影された直柱群の影を斜めから観察したとき,著名な幾何学的錯視であるカフェウォール錯視様の網膜像が生じる.本研究では,カフェウォール錯視の強度変化をもたらすモルタルの幅と明るさを三次元状況に当てはめて考えたときに,どのような制約条件としてとらえられるかを検討した.結果,錯視が生じるためには観察距離の約2%程度の奥行き差がある面に影が落ちている状況が望ましいことが明らかになった.これらの結果は,大きな観察距離に対して,比較的奥行き差が少ない物体表面の形状推定を行うときに物体に落ちる影の情報が有効な手がかりとなることを示している.

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© 2020 日本図学会
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