図学研究
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3次元仮想空間を利用した図学における切断法の考察
大月 彩香大月 美佳
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2003 年 37 巻 Supplement1 号 p. 115-118

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抄録

これまで、図学教育の情報化を進めるために、3次元コンピュータグラフィックス (3DCG) アプリケーションを使用した図学の教育を試行してきた。試行においては、図学の教育法を検討すると同時に、図学の新しい可能性についても追求してきた。本報告では、平面による切断の概念を利用した解法である切断法の、3DCGアプリケーションを利用した解法について主に述べる。切断法は、線と平面の問題から立体と立体の相貫の問題にいたるまで適用されている。本報告では、線と平面の交わる点を求めるという最も簡単な問題を例にして、紙の上での解法とコンピュータによって実現される仮想空間での解法を紹介する。仮想空間での解法では、紙の上での解き方そのものを再現する方法と概念をそのまま実行する場合、そして、仮想空間ならではの方法があることを示す。概念をそのまま実行する場合には、正投影の画面で実現する場合と見取り図の画面で実現する場合の2つがあり、見取り図を利用する方法の方が柔軟性が高い。さらに、仮想空間ならではの方法では、切断命令、交切命令などのアプリケーション固有の機能を用いる方法と一般に作業平面とも呼ばれる仮想的な投影面 (仮想投影面) を利用する方法を示す。このような機能を利用すれば、投影作業そのものはコンピュータに任せて、様々な物体の切断が可能になる。つまり、3DCGアプリケーションを利用することで、切断法については従来の解法が実現可能であるのみならず、より適用範囲が広がったと考えられる。

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